晴れたり曇ったり

毎日空を見て暮らしています。良い天気の日もあるし曇ったり荒れたりする日もあるし、日々繰り返し。

日活旧作「カミナリお転婆娘」 カワサキのB7でかっ飛ばす

 久し振りにAMAZONのプライムビデオを視聴。旧作日活映画、タイトルは「カミナリ お転婆娘」1961年の作品。

 サムネイル見たらヘルメットかぶった主演者の写真、カミナリはカミナリ族の事。オートバイが絡む映画だとすぐ判ったからさっそく拝見。

 主演は清水まゆみ、目元パッチリのキュートな女優さんで勝気なお転婆娘役。対する男優が沢本忠雄。裕次郎、旭、ルリ子、小百合クラスではないけれど肩の凝らないプログラムピクチャ―。

 

 社長令嬢ながらオートバイですっ飛ばしてる清水まゆみが同じく企業の息子の沢本忠雄とひょんな事で出会う。お互い一目惚れしたけれどその場では別れる。

 実はお互いの両親この二人をお見合いさせて清水側は跡継ぎにさせたい。お見合い話を持って行くんだけれど清水まゆみは恋愛至上主義でお見合いを拒否してる。

 別れた時沢本のヘルメットの後ろにMMのイニシャル、それを手掛かりに清水はオートバイ仲間の女友達二人に探すのを手伝うよう頼む。

 一人が酒屋の娘、(ミツカン酢の前掛けかけてポスターも出て来たから「ミツカン酢」がスポンサーに絡んでるな)もう一人が歯医者の娘。

 これが小桜京子、てったってもう誰も知らないだろうけど柳家金語楼の娘。ぶっ飛ばしてく清水を白バイが追い掛ける。この白バイポリスが江戸屋猫八、お笑い3人組の一人。先々代になるのかな。

 お笑い3人組もはるか昔のNHK番組、一龍齋貞鳳、三遊亭小金馬、のち金馬とのトリオ。懐かしいからその他共演陣を紹介。

 清水の両親役に坊屋三郎三崎千恵子。とらやの女将さんやってた人。その祖母役が藤村有弘。カツラ被って、この人元々おねぇだからこのドタバタ役楽しかったんじゃないの。

 沢本が行きつけのバーの店主が大泉晃、フニャフニャ役ばかりやってたけどどこの人祖父がロシア人の色男。当然振られ役。

 ちょこっとしか出ないけれど左卜全が三味線の音流れる小唄かなんかの師匠、これでオートバイ乗ってるって役。左卜全が出て来るだけで観客は笑ったんじゃないかね。

 左卜全は不思議な俳優さんだった。奥さんの話によれば別に足が悪いわけでもないのに松葉づえついてたとか、顔を出すだけで笑ってもらえる異色俳優。

 まぁ、恋の空回り、あれこれあって最後はめでたし。そんな都合の良い話があるもんかと途中ダレるけれど肩の凝らない恋愛コメディ。

 

 さて、この映画を見たかったのはカミナリ娘の乗るオートバイ、どこのメーカーのものなのかを知りたかった。それがカワサキのオートバイ。

 B7という125㏄。これが4台、5台と出て来る。これは宣伝タイアップ、カワサキのB7は売り出したばかりでホンダ、スズキ、ヤマハに比べ低い知名度

 だからバイクのフロントフェンダーにわざわざ「カワサキ」と書かれてたいた。だけどこのバイクは失敗作で売ったもののクレーム続出。

 すぐモデルチェンジし後継B8が出た。これは具合が良かった。友達のを借りて乗った事があるけれどサスがソフトで軽快な良いバイクだった。

 そしてこのB8をチューニングしてモトクロスレースに出場したらいきなり優勝。勝因は雨で他のレーサーがスタックしてしまったから。

 当時タンクを赤く塗ってたからカワサキの赤タンといわれ大躍進。それ見て先輩格のスズキ、ヤマハも発奮し日本のバイク性能は世界トップに駆け上っていく。

 ホンダは4ストエンジンでモトクロスは勝てない。のちに2ストモトクロッサーを開発、ロードレースも2スト全盛時代に入っていく。

 (でも排ガス問題で2ストは廃れ4ストに戻る。2ストの胸がすくような加速はもう味わえない)

 B7はエンジンは良かったけれどフレームに問題があった様子。返品の山、まぁ、失敗作があるから次ぎ頑張ろうって事になる。

 

 映画に商品タイアップは当時気が付かなかったけれどよく見ると一杯あったんだね。沢本の両親の会社は日清食品と設定。だから日清の即席チキンラーメン食べる場面が出て来る。

 チキンラーメンの発売は1958年8月。後追いであちこちのメーカーが即席めんを発売、中部地方では「殿様ラーメン」チキンラーメンより味が濃い目で専らこれを食べてた。

 カップヌードルはまだだった。カップヌードルは日活のロマンポルノで、あれは「8月の濡れた砂」だったかな、1970年代。

 女優がブランコに乗ってカップヌードル食べるシーンが記憶にある。プラスティックのスプーンで食べてた。当時は買うとプラスプーン付いてたような。

 

 この映画に出て来るオートバイは他にもあって、江戸屋猫八の乗ってた白バイはホンダのCP77、後半に多摩テックが出て来てここはホンダの作ったバイク専用オフロードコース。

 ここで主人公たちカワサキのB7を走らせるのだけれど(コース内は走ってない。脇道を走ってる)さすがにホンダのコースにカワサキは走らせたくなかろう。

 ここでCB72やらスポーツカブなんかが出て来る。ホンダは4ストだからバタバタ4ストエンジンの音が響いてた。

 カワサキB7は2ストエンジンなんだけど走っていくときの音は4ストの音。アフレコの時に音声さんエンジンの音の違いなんか気にせず録音室にある音を当ててたんでしょう。

 他の映画の時でもこれをやってたから映画人はオートバイの事には無頓着だったんだね。このお転婆カミナリシリーズは続編もあってその写真見るとまた別のオートバイ使ってる。

 前に書いたけどおなじ日活、川島雄三監督の「州崎パラダイス.赤信号」の時には名古屋のオートバイメーカー、平野製作所の125㏄スクーターがタイアップで出てた。

 昔の映画を見る楽しみ、特に肩の凝らないプログラムピクチャー、昭和30年、40年代の街の様子、暮らし向き、若い頃は気がつかなかった事を拾っていくのが楽しい。

  

 
 B7の写真ないかと探したらカワサキのHPに、   

www.kawasaki-cp.khi.co.jp

 カワサキ乗りなら見なあかんで!というHP。B7からB8へそしてレースに出て行く経緯など詳しい。

www.kawasaki1ban.com