映画は映画館で観るものと思ってるけれど最近映画館に出掛ける事はない。じゃぁ映画を観ないかといえばそこそこ観てる。
HCあたりで売ってる旧作DVD、気になったモノを買い置きしてそのまままだ観てない映画も5.6本ある。
それにAmazonプライムの映画も結構観てるからご無沙汰というわけでもない。
HCあたりで売ってるDVDは大作、評判作はあまりなくて版権切れとか売れなかったB級映画とか。
そんな作品群の中で日本映画の、特に日活映画の、歌謡曲が流行ったら作られる歌謡映画類。
これがなかなか個人的にはそそられるんです。「アカシヤの雨がやむとき」とか「霧子のタンゴ」とか「東京流れ者」とか。
作れば客が詰めかけた時代だからやっつけ作品もあるけれど、中には鈴木清順の「東京流れ者」の様に評判作となったものもある。
ただ安売りDVDにこの作品はない。「続・東京流れ者」はあって、鈴木清順の作品はアマゾンの方で鑑賞。
同じ渡哲也主演ながら監督が違うとまるで別物。それでもこうした旧作を見続けるのは中身よりはその時代を観る為。
昭和30年代から40年代にかけて、日本のあの頃を再確認するため背景、景色、風景を見つめてる。
最近観た作品で良かったのは「州崎パラダイス.赤信号」日活作品で監督は川島雄三。昭和31年の作品。
川島作品は少し前にフランキー堺主演の「幕末太陽伝」を観て堪能したからアマゾンのリストにあるのを見付け早速。
州崎パラダイスというのは東京江東区にあった旧遊郭、遊郭入り口にアーチがあって「パラダイス」と大きく描かれてる。
その入り口にある飲み屋が舞台でそこの女将が轟夕起子。そこに今夜の宿さえない2人三橋達也と新珠三千代。
そば屋の店員に芦川いずみ、小沢昭一、飲み屋の客に河津清三郎。若い頃の新珠三千代切れ味ありましたね。
彼女の事は石原裕次郎主演の「乳母車」でも見て良い役者だと思ってたけれど再確認。この遊郭上がりの女に絡むのが河津清三郎。
悪役が多かったけれど、中年の羽振りの良い電気屋、役にはまってこんな人いたなぁと、この役者さんよく見ると2枚目ですね。
で、神田から(秋葉原ですね)飲み屋に通ってくるんだけれどスクーターに乗ってやってくる。飲んで帰る時もスクータ-。
昔はおおらかだったんだ。映画の中とはいえ大っぴらに飲酒運転してる。新珠三千代も後ろに乗せてっちゃう。
これが昔は当たり前だったけれど女性は横乗り。今考えると危なくて見てられない。
そういえば”アルディラ”映画「恋愛専科」でもトロイ・ドナヒューがスザンナ・プレシュットをベスパに横乗りで乗せて走ってた。
このスクーター、パッと見たときどこのメーカーのモノなのか判らなかった。昭和30年初め頃のスクーターといえばシルバーピジョンかラビット。
このスクーター、車輪が少し大きくてスポーク。大手2社のスクーターは10インチのディッシュホイールが定番。
昭和30年頃には日本のオートバイメーカー100,200とあって大体覚えてるんだけれどこれは名前が出て来ない。
そこで探して、これは名古屋にあった平野製作所が作ってた「ヒラノポップマンリー」という125ccですね。
ピカピカの新車だったからタイアップでメーカーが提供したスクーターでしょう。日活映画見てると良くこういうのが出てくる。
渡哲也がドライヤー使って髪整えてて「この○○良いねー」なんて云ってたりする。
名古屋にもオートバイメーカーは結構ありました。オリンパスというメーカー、水平シリンダーの2気筒250なんて作ってたし、
犬山にはキャブトンという4スト2気筒の250や350ccバイクを作ってた。のちに倒産して社長は犬山橋から木曽川に身を投げた。
平野スクーターには50ccの折りたたみスクーター、バルモビルってのも作ってて、これは旧作愛好家には人気のあるアイテム。
映画は時代をそのまま映像に写し取って後世に残してる。川島作品を堪能すると同時にスクリーンのあちこちに見え隠れする時代の記録を探すのも面白い。
大体1本500円だけれど250円とかの時もあって(最近はない)まとめて買ってたり。懐かしの日活映画。懐かしの30年代、40年代。