中日新聞の常連寄稿者のうちに池内了氏がいる。総合研究大学院名誉教授という肩書。月一くらいで文化欄の「時のおもり」というタイトルで寄稿してる。
3月9日の土曜日朝刊に載ったエッセイの見出しは「経済安保秘密保護法の危険性」「民主主義を危うくする」というもの。
これは同法案を危険視しているのだが読んでいくと実にこの法案の解説になってて同法を理解するのにもってこいの内容だった。
曰く、
〇 先に閣議決定された保護法案は昨年5月に公布された「経済安保推進法」の重要な柱の、先端的重要技術の秘密保護をどうするかと検討されたものだ。
〇 この法案のキーワードが「セキュリティクリアランス」日本語では「適正評価」
〇 国家の安全保障に関係ありと指定された重要情報を扱う人間を限るために行う保安システムの事だ。
〇 2013年に制定された「特定秘密保護法」は外交、防衛、テロ、スパイ活動の防止という4つの分野の特定秘密に関する法で政治的な安全保障の為である。
〇 この分野を扱うのは主として政府職員だから取り締まり対象も公務員に限られる。経済安保になると対象が広がる。
〇 政府職員の他大学や企業の技術者・研究者、さらに技術情報を伝える教員、ジャーナリスト、学芸員迄、民間人の活動歴、信用情報、精神疾患などプライバシー迄調査する事になる。
ここ迄の解説、成る程そういう経緯なんだなと、当たり前の事ではないかとと思いつその先を読むと池内教授の危惧する部分が出て来る。
〇 この適正評価で秘密に接触出来る者を適格、不適格に分けるのだ。更に評価調査に家族や同居人にも及ぶのが必然となる。
〇 この評価には本人の同意が必要、果たして調査を拒めるのか。拒否すると不適格とみなされかねない。
〇 不適格のレッテルを張られたら技術情報とは関係ない部門に異動させられるかもしれない。思想差別だ!
〇 さらに秘密漏洩罪が適用されると5年以下の拘禁刑となる。この法は民主主義を危うくする悪法と云わざるを得ない。
〇 安全保障という名目でドンドン息苦しい世の中になって行く事に強気警戒しなければならない。
前半部の解説、判り易くて有り難うございます。いたって世界標準の常識的な法案ではないですか。今までこれが無かったからダダ洩れだった。制定するのが遅すぎた。
それでもやっとここまで来た。中国、韓国、北朝鮮、ロシアその他にいとも容易く漏洩してたのに一応の歯止めが掛かる。
国家の重要な秘密保持がなされるというのに、何故この方は不満だとして批判されるのか。身辺調査をして重要機密に触れられる人を選ぶのは当然ではありませんか。
面白い事を云う人だなぁ。国家の機密保持より信用調査をされプライバシー迄調べられる個人の事の方が大事だと云ってる。
調べられて都合が悪い人はそりゃ弾くでしょう。その為の調査なんだから。これじゃスパイ調査をするな、中国や韓国や北朝鮮に情報が渡らなくなるじゃないかと云ってるようなものだ。
福島ミズホも同じ心配をしている。という事はまっこと日本の為には正しい法案。学術会議も同じこと思ってるんだろう。
この件を国会でミズホは質疑、高市担当大臣に、何が秘密か判らないと質問。
【経済安全保障】社民党・福島瑞穂「これから決めますは、何が秘密かわからないんですよ、わからない」
— Mi2 (@mi2_yes) 2024年3月8
高市早苗経済安全保障担当大臣「例えばこういう秘密が経済安保上重要な秘密になりますと公開すれば、それは秘密でも何でもなくなってしまう」 pic.twitter.com/A7uLQphaie
それでもこの法案の中にハニートラップが入ってないとか不備を指摘する声もあってまだ不十分な点もある。まず一歩、今後さらに見直しは必要だろう。
しかし中日新聞の寄稿者はいつも決まって左系。保守系はついぞ見掛けない。多様性を掲げるジャーナリストを気取るんなら公平な人選すれば良いのに。
飛行機雲1本。今朝も良い天気。